コンタクト管理アプリを使用するPCの画面が、突然真っ暗になっていました。
MinisforumのWindows PCが完全に沈黙してしまったのです。
結論から言うと、クリニック運営では信頼性の高いメーカー製PCを選ぶべきでした。
開業を検討されている先生方にも、ぜひ参考にしていただきたい体験談です。
眼科クリニックのPC環境と今回の経緯

当クリニックではカルテシステムをすべてMacで運用しています。
Macは直感的で使いやすく、ずっと使っています。
開業してから、一日中Macの画面だけで仕事できているのは幸せに思います。
しかし眼科医療機器との接続には、どうしてもWindows PCが必要になります。
正直なところ、Windowsはほとんど使ったことがなくとても苦手です。
仕方なく使っているというのが実情です。
2022年末のカルテ用Mac入れ替え時期に、コスト面を考慮したのか? MinisforumのWindows PCも購入していました。
ところが直感が働き、結局HPのデスクトップを医療機器接続用として選択。
眼科医療機器がダメになったら診療への影響が大きいため、この判断は正解でした。
使われなかったMinisforumは、そのまま放置状態。
今年の春になって「使えそう」ということで、コンタクト管理アプリ専用機として設置しました。
約1か月間は問題なく動作していた矢先の出来事です。
突然の故障が引き起こした混乱
午後の診療開始直前、患者さんのコンタクトレンズ処方データを確認しようとした瞬間の出来事でした。
Windows 11 Pro、Core i7、メモリ16GB、256GB SSDと十分なスペックを備えていたにも関わらず、1か月程度の使用で故障してしまいました。
カルテシステム(Mac)や診療予約システムは正常に動作していましたが、コンタクト管理システムが使えないのは致命的です。
患者さんをお待たせするわけにはいきません。
緊急事態への対応
忙しい午後診療の合間に、すぐに代替PC探しを開始しました。
HPやDELLのデスクトップPCを調べたところ、納期が1週間以上はかかることが判明🤯
医療現場では1日でも業務が止まると大きな問題となります。
絶望的な気持ちでヨドバシカメラのサイトを確認していたとき、救世主を発見しました。
HPのラップトップが翌日配達可能だったのです。
即座に注文を確定!!
翌日にはWindows 11 proがセットアップされた新しいラップトップが届き、システムを復旧できることになりました。
機能 | Windows 11 Home | Windows 11 Pro |
---|---|---|
価格 | 安い | 高い |
主な対象 | 家庭・個人 | 会社・クリニック |
遠隔操作 (リモートデスクトップ) |
できない | できる |
データ暗号化 (BitLocker) |
なし | あり |
会社のネットワーク参加 | できない | できる |
アップデート管理 | 自動のみ | 細かく設定可能 |
仮想マシン (Hyper-V) |
使えない | 使える |
セキュリティ機能 | 基本的 | 高度 |
使用可能メモリ | 最大128GB | 最大2TB |
おすすめ用途 | ネット・動画・ゲーム | 医療機器・業務用 |
野生の勘が救った医療機器用PC
振り返ってみると、2022年末に「直感で」HPのデスクトップを医療機器接続用に選んだ判断は正解でした。
眼科医療機器が故障すれば診療そのものが止まってしまいます。
重要度の高いシステムほど、信頼性を重視すべきだったのです。
開業準備・クリニック運営でのPC選びで重要なポイント

今回の経験から学んだことは多くあります。
信頼性を最優先に
価格の安さだけでPC選びをしてはいけません。
開業時はコストを抑えたい気持ちが強くなりますが、医療現場では故障による無駄な時間が患者さんに直接影響します。
HP、DELL、富士通といった実績のあるメーカー製品を選ぶべきでした。
多少価格が高くても、安定性と保守サポートの充実度が違います。
システムの重要度に応じた機器選択
当院では、Mac(カルテ)とWindows(医療機器接続・各種アプリ)の両方が必要になります。
システムの重要度に応じて、機器選択の基準を変えることが重要です。
医療機器接続用PCは診療の根幹に関わるため、最も信頼性の高いメーカー製品を選択。
コンタクト管理のような補助的なシステムでも、患者さんサービスに直結するため妥協は禁物でした。
調達のしやすさも考慮
故障時の代替機確保も重要な要素です。
大手家電量販店で取り扱いのあるメーカーなら、緊急時でも比較的早く代替機を入手できます。
ニッチなメーカーの場合、故障時の対応が困難になるリスクがあります。
開業準備中の先生方は、機器選定時に「故障したらどうするか」まで考えておくことをおすすめします。
バックアップ体制の構築
PCだけでなく、データのバックアップ体制も見直しました。
クラウドストレージへの自動バックアップを設定し、万が一の故障時でも他のデバイスからすぐにデータにアクセスできる環境を整えました。
開業当初からバックアップ環境を構築しておけば、後々のトラブル対応が格段に楽になります。
まとめ
クリニック運営でのPC選びは、一般的な用途とは異なる観点が必要です。
価格よりも信頼性を重視し、故障時の対応まで考慮してメーカーを選択する。
患者さんの診療に支障をきたさないよう、事前の備えが欠かせません。
今回の件で学んだのは、「安物買いの銭失い」という古い言葉の真実味でした。あたりまえのことですね!!
開業を目指す先生方も、機器選定の際はぜひ参考にしてください。
医療現場では特に、信頼できる機器選びが患者さんへの責任でもあります。
これを機会に、ちゃんとWindowsも勉強しようって思いました。。